今回解説していく通貨は南アフリカランド円(zar/jpy)です。為替市場では上昇トレンドが維持されているものの、節目の10円手前で買いも一服となりました。テクニカル的には8.5円台まで調整が進む可能性もありそうですが、中長期視点での押し目買いのチャンスと見なすこともできるでしょう。
一方、ファンダメンタルズでは中東紛争による原油価格の高騰で、南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)のインフレ目標達成に暗雲。年内に利上げ転換のリスクも浮上してきました。
今後のランド円の相場焦点:中銀のリスクシナリオでは年内に利上げの可能性も
まずは南アフリカの現在の金融政策状況を確認していきます。
南アフリカ準備銀行(SARB)は2021年11月に金融引き締めを開始。2023年5月に政策金利を8.25%まで引き上げて、2024年9月から金融緩和局面へと移行。現在の政策金利は6.75%です。
●SARBが金利の据え置きを決めた3月直近会合の声明文では
・エネルギー価格の上昇によって短期的にはインフレが加速し、CPIは4%程度まで上昇する見込み
・現在の予測に基づけばインフレリスクは上振れ方向に傾いている
・中銀の四半期予測モデルによる最新の予測では1月時点の予測よりも利下げの時期を先送りし、より長期間にわたって金利を据え置くことが示されている
などの見解が示されました。
直近2月の消費者物価指数は前年比3.0%とSARBのインフレ目標である3.0%(±1.0%)に一致していますが、今後は目標レンジの上限付近まで上昇する見込み。さらに中銀が想定するリスクシナリオでは中東紛争の長期化によって原油価格が高止まりし、インフレ率が4-5%超まで上昇。中銀は年内に利上げを迫られるとの見方もあるようです。
ランド円の週足分析:上昇トレンド内の調整局面か
下図のチャートはランド円の週足チャートになります。

現在は2020年4月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)内での推移が続いています。足もとで9.89円まで上値を伸ばす場面もありましたが、チャネルラインが位置している心理的節目の10.00円手前では買いも一服となりました。
チャート下部に追加した「DMI」で確認すると現在は+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆していますが、+DIと-DIが接近しており、今後は下落トレンドへの転換を示唆する可能性もありそうです。
もっとも、前述したように現状は2020年来の上昇トレンドにあるため、ここから短期的な調整局面を迎えたとしても、中長期的視点では押し目買いのチャンスとみなすこともできるでしょう。
ランド円の日足分析:今後の調整余地は8.5円台までか
今度はより短期的な視点でランド円の状態を確認していきます。下図のチャートはランド円の日足チャートになります。

先月までは昨年4月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)を維持していましたが、直近ではこのトレンドラインを下抜けてきました。週足分析とも整合性が取れており、ここからは調整の目処を探っていきましょう。注目すべきは昨年4月安値-今年2月高値までの上昇幅に対するフィボナッチ水準。特に半値押しに位置する8.58円近辺は昨年10月17日につけた直近安値(※)にも近く、今後の調整余地に関する重要なポイントとなりそうです。
※高市首相が自民党総裁選で勝利し(10月4日)、円相場は翌週明けから窓を開けて急落。ランド円も買いが強まったが、その後の押し目水準にあたる。
今後の取引材料・変動要因をチェック:日銀の追加利上げを巡る思惑に注目
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日銀の金融政策決定会合。日銀の前回(3月18-19日)金融政策決定会合では、先行きの利上げに関して前向きな意見が目立ちました(同会合の主な意見より)。今後の中東情勢次第ではありますが、紛争長期化によって原油価格がさらなる上昇もしくは高止まりとなった場合、追加利上げへの思惑が広がる可能性もあるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・4月22日 南ア 3月消費者物価指数(CPI)
・4月24日 日本 3月全国CPI
・4月27-28日 日本 日銀金融政策決定会合





