今回解説していく通貨はハンガリーフォリント円(HUF/JPY)とチェコ・コルナ円(CZK/JPY)です。両通貨とも明確な上昇トレンドにあり、コルナ円は史上最高値をさらに更新。フォリント円も重要な上値の目処に面合わせする場面が見られました。
ファンダメンタルズを確認すると、ハンガリーでは今年に入って金融緩和を再開したものの、足もとのインフレに対する懸念から追加緩和観測は後退。チェコ中銀は中東戦争の影響は現時点で限定的としていますが、さらに様子を見る必要がありそうです。
今後の相場の焦点:ハンガリー中銀、追加緩和観測は後退
まずはハンガリーおよびチェコの現在の金融政策状況を確認していきます。
ハンガリー中銀は2021年6月に金融引き締めを開始。2022年9月には政策金利を13.00%まで引き上げました。2023年10月から現在の緩和局面へと移行。2024年10月以降は金利据え置きを続けてきましたが、今年2月に利下げを再開しました。
現在の政策金利は6.25%。欧州連合(EU)域内ではルーマニアに次いで高い金利水準となっています。
●3月に開催された直近の会合時の声明文では
・2026年7-9月期以降、インフレ率は許容範囲(3%±1.0%)を超え、2027年下半期には中央銀行の目標水準に持続的に戻ると予想
・地政学的緊張や不確実な金融市場環境から生じるインフレリスクのため、金融政策には引き続き慎重かつ忍耐強いアプローチが必要
・金融引き締めを維持することは正当化される
などの見解を示しました。
また、インフレ見通しに関しては2026年が年平均で3.8%、2027年が3.7%としており、いずれも前回(2026年が3.2%、2027年が3.3%)から上方修正されています。
中銀の声明からは強いインフレ警戒姿勢が示されており、追加緩和は遠のいたと見てよいでしょう。もっとも、市場では中東情勢が早期に落ち着けば年内に利下げが再開される可能性もあるとしています。
一方、チェコ中銀は2021年6月に金融引き締めを開始。2022年6月に政策金利を7.00%まで引き上げて、2023年12月から金融緩和局面へと移行。現在の政策金利は3.50%です。
●3月に開催された直近の会合時の声明文では
・最新の予測によると総合インフレ率は今年2%を下回り、来年はインフレ目標に非常に近い水準となる見込み(中銀のインフレ目標は2.0%±1.0%)
・現状および今後の見通しを踏まえると、過去に比べて比較的引き締め的な金融政策が依然として必要
・今後開催される理事会において、中央銀行理事会は新たに入手可能なデータとそのインフレ見通しへの影響を評価した上で決定を下す
などの見解が示されました。
中銀金融局が発表した上記の「最新の予測」には原油価格の上昇を部分的に織り込んだとしていますが、原油先物価格がその後も上昇を続けたことを考慮すると、インフレ見通しは次回の理事会(5月7日)で改めて確認する必要があるでしょう。ただ、前回の理事会(3月19日)時点では「(中東戦争の)現時点での影響は低インフレ環境の持続を危うくするものではない」との見解を示しています。
ハンガリーフォリント円の週足チャート分析:2009年以来の高値に面合わせ
ではハンガリーフォリント円(HUF/JPY)について、テクニカル面でも現在の状況を確認していきましょう。下図のチャートはハンガリーフォリント円の週足チャートになります。

フォリント円は今月に入ってついに0.50円の大台乗せを達成。一時0.521円と2009年10月につけた重要な上値目標(チャート上の青色実線)に面合わせする場面も見られました。チャート下部に追加した「DMI」でも+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆。トレンドの強さを示すADXも十数年来の高水準を維持しており、現在が明確な上昇基調であることを示しています。
上値については前述の0.521円をクリアに上抜けると、2007年8月安値の0.570円まで大きく上値余地が拡大することになりそうです。
ただ、ここからのリスクシナリオとして0.521円付近で上値を抑えられるケースについても一応頭に入れておきましょう。可能性としては高くないシナリオですが、ここまで急ピッチで上昇してきた分、調整も相応に強いものとなることが予想されます。
チェコ・コルナ円の週足チャート分析:史上最高値をさらに更新、押し目買い方針も継続
下図のチャートはチェコ・コルナ円(CZK/JPY)の週足チャートになります。

コルナ円は2020年5月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)にあり、現在は2022年3月安値を始点とするより急激な上昇トレンド(チャート上の青色点線)に移行。足もとでは7.73円まで上値を伸ばし、史上最高値を更新しました。
また、チャート下部に追加した「DMI」でも+DIが-DIを上回っており、現在は上昇トレンドであることを示唆。トレンドの強さを示すADXも数年来の高水準に位置しています。
フォリント円と同じく急ピッチで値を上げてきた反動が気になるところですが、上昇トレンドが続く限りは押し目買い方針の継続が基本線となります。ここからの上値目標としては2024年7月高値-同年8月安値までの下落幅に対する倍返し水準(7.80円)や心理的節目の8.00円などを意識しておきましょう。
今後の取引材料・変動要因をチェック:ハンガリー新政権への期待は継続するか
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベント等も確認しておきます。注目は日本・ハンガリー・チェコの金融政策。日銀は4月会合で利上げに動くとの見方こそ後退したものの、早期利上げ観測は根強く、声明文や植田総裁の会見にも注目が集まりそうです。
また、ハンガリーでは今月実施された総選挙で16年ぶりの政権交代が実現しました。マジャル新政権は反欧州連合(EU)的な立場を取り続けてきたオルバン前政権までの方針を転換し、EUと歩調を合わせるとしています。これにより凍結されているEUからの資金配分も再開されるとの期待が高まり、選挙後の4月13日からフォリントは急伸。今後は新政権への期待によるフォリント買いの流れが継続するかについても確認する必要があるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
4月24日 日本 3月全国消費者物価指数(CPI)
4月27-28日 日本 日銀金融政策決定会合
4月28日 ハンガリー ハンガリー中銀、金融政策公表
5月6日 チェコ 4月CPI
5月7日 チェコ チェコ中銀、政策金利公表
5月8日 ハンガリー 4月CPI





