今回解説していく通貨はニュージーランド(NZ)ドル米ドル(NZD/USD)です。テクニカル面では2021年からの下落トレンドを維持。再び上攻めに失敗した格好となっています。短期的には押し目買いも狙えそうな局面ですが、基本的な下げ基調を意識しながら行う必要があるでしょう。
ファンダメンタルズではNZ中銀がさらに年内の利上げを示唆するかがポイント。また、11月にはNZで総選挙が予定されており、中銀の金融政策やNZドル相場に影響を及ぼすイベントとして注目です。
今後のNZドル米ドルの相場焦点:本日の会合では追加利上げ実施が濃厚
まずはNZの現在の金融政策状況を確認していきます。
NZ準備銀行(RBNZ、中央銀行)は2024年8月から金融緩和を開始。2025年11月に政策金利を2.25%まで引き下げた後、今年7月から金融引き締め局面へと移行しました。現在の政策金利は2.75%です。
●RBNZが金利の引き上げを決めた9月直近会合での声明文では
・今回の決定により、後になってOCR(政策金利)をより大幅に引き上げる必要が生じるリスクが軽減される
・今後の政策決定は、中期的なインフレに対するリスクのバランスに関する委員会の判断に依存
・引き続き警戒を怠らず、中期的においてインフレ率が持続的に2%の目標中央値へ戻ることを確実にするため、必要に応じて対応していく
・中心となる経済見通しを前提とすれば、OCRをさらに引き上げる必要が生じる可能性があると判断
などの見解が示されました。
NZ中銀は今後の追加利上げ方針を示唆した一方、その後にブレマンRBNZ総裁は「予め決められた政策方針はなく、利上げタイミングも非常に不透明」と言及。一時はNZ中銀の追加利上げ期待が低下する場面もありましたが、その後は中東情勢の先行き不安からエネルギー価格が高騰していることもあり、本日(10月28日)の金融政策決定会合では追加利上げを実施(2.75%から3.00%へ)する可能性が高まっています。
注目は今回の声明文の内容です。金利先物市場では年内最後の会合(12月9日)での追加利上げを完全に織り込んでいるとは言えず、声明文を受けてさらに金利先高観が高まるか確認する必要があるでしょう。
NZドル米ドルの週足分析:上攻めは失敗に終わる
下図はNZドル米ドルの週足チャートになります。

現在は2021年2月高値を始点とする下降トレンド(チャート上の黄色実線)が継続中。今年の8月中旬にかけて上値を試す場面も見られましたが、5月29日につけた直近高値の0.5994米ドルや心理的な節目である0.6000米ドルの上抜けに失敗し、その後は0.5600米ドル割れ水準まで押し戻されました。
チャート下部の「DMI」によると、再び-DI>+DI(下落トレンド)への転換を示唆。トレンドの強さを示すADXが低水準にあり、それほど下降トレンドの強い状況でないとは言え、上値の重い流れが続いています。
NZドル米ドルの日足分析:短期的には押し目買いも狙い目だが
今度はより短期的なチャートから相場の方向感を探っていきましょう。下図はNZドル米ドルの日足チャートです。

週足分析でも紹介したように、前回きわどいところまで上昇したものの、今年2月からの相場は上値・下値をともに切り下げてきた典型的な下落トレンドにあります。
その一方で、チャート下部の「DMI」では+DIと-DIが接近。今後再び上値を試す可能性も出てきました。もう少し相場の行方を見極めた方が無難ではあるものの、ここからは10月14日安値の0.5565米ドルなどを目処にした押し目買い戦略も狙っていけそうです。ただ、中長期の基本的な地合いが下落トレンドであることは常に意識しておきましょう。
今後の取引材料・変動要因をチェック:NZ総選挙の行方に注目
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は本日(10月28日)公表される米・NZ両国の金融政策。NZ準備銀行(RBNZ)は今回利上げで次回は不透明、米連邦公開市場委員会(FOMC)は今回据え置きで次回は利上げが見込まれており、次の会合に向けた金利先高観の変化がポイントになるでしょう。
その他で注意しておきたいのが11月7日に実施されるNZの総選挙です。事前の世論調査では与党・国民党と野党・労働党の接戦が伝わっており、両陣営とも過半数の獲得には至らない見込み。選挙後の連立協議では既成政党への不満を吸収している新興政党のオポチュニティー党が鍵を握るだろうと伝わっています。
ただ、労働党を中心とする政権が樹立した場合、RBNZの政策目標に雇用の最大化が再び追加されて、市場では今後中銀が追加利上げに動きにくくなるとの見方もあり、NZドル相場に影響する可能性も高そうです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
10月28日 NZ RBNZ、金融政策決定委員会
10月27-28日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
10月29日 米国 9月PCEコア・デフレーター
11月6日 米国 10月米雇用統計
11月7日 NZ総選挙
11月10日 米国 10月消費者物価指数(CPI)
11月25日 米国 10月PCEコア・デフレーター


