「出光興産の株主優待って、どんな内容なんだろう?」
「株価が下がっているみたいだけど、投資先としてどうなの?」
ガソリンスタンドでおなじみの出光興産(証券コード:5019)。
実はこの会社、たった1株の保有からでも株主優待の対象になる魅力的な制度を導入していることをご存知でしょうか。
「株主優待をもらうには100株を保有するために、何十万円も買わないといけない」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、出光興産なら数千円ほどの少額からでも株主となり、特典を受け取れるのです。
この記事では、そんな出光興産の魅力的な株主優待の内容から、企業の基本情報、最新の業績や今後の将来性まで投資初心者の方にも分かりやすく解説していきます。「まずは少額から株式投資を始めてみたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
出光興産の株主優待の内容
出光興産の株主優待は、一般的な商品券や製品詰め合わせとは異なり、同社の文化・社会貢献活動に触れることができる体験型の優待が大きな特徴です。
【1株以上で全員対象】Idemitsu Art Award展への招待券
1株でも株式を保有している株主全員が対象となるのが、美術展覧会「Idemitsu Art Award展」の招待券です。これは、出光興産が長年にわたり支援している、若手作家の発掘・育成を目的とした公募展で受賞・入選作品が一堂に会します。
・対象:9月末時点で1株以上保有する株主
・案内時期:12月上旬頃
・受け取り方法:株主様専用WEBサイト「いでみつコネクト」にて招待券を配信
優待でアートに触れる機会が得られるというのは、他社にはない出光ならではの魅力的です。
100株・500株以上の株主向け優待
保有株式数が多くなると、さらに特別な体験ができる抽選優待に応募することができます。
① 出光関連施設・事業所見学会(100株以上・抽選)
普段は一般の人がなかなか入ることのできない、製油所などの事業所を見学できるツアーです。原油からガソリンなどの石油製品が作られる巨大なプラントを間近で感じたり、企業の歴史や最新の取り組みについて学んだりすることができます。子供から大人まで楽しめる社会科見学といった内容で、エネルギー産業の裏側を知る貴重な体験となるでしょう。
② テレビ音楽番組「題名のない音楽会」収録ご招待(500株以上・抽選)
出光興産が長年提供しているテレビ朝日系列の「題名のない音楽会」の公開収録に、抽選で招待されます。一流の音楽家による演奏をライブの臨場感で楽しむことができるため、音楽好きにはたまらない特典です。
③ 「キッザニア」入場券プレゼント(500株以上・抽選)
子供たちが様々な職業を体験できる人気のテーマパーク「キッザニア東京・甲子園・福岡」の入場券(1セット4枚)が抽選で受け取れます。
上記の抽選優待は株主専用サイト「いでみつコネクト」を通じて案内されており、抽選で応募できます。金銭的なリターンだけでなく、特別な体験という価値を提供してくれるのが、出光興産の株主優待の大きな魅力と言えるでしょう。
出光興産の基本情報・脱炭素社会へ挑む総合エネルギー企業
出光興産と聞くと、多くの方がガソリンスタンドを思い浮かべるかもしれません。しかし、現在の出光興産は単なる石油会社にとどまらず、エネルギーと素材の分野で幅広く事業を展開する「総合エネルギー企業」へと変革を進めています。
事業の柱は多岐にわたります。従来の燃料油事業(ガソリン、軽油など)と、オーストラリアなどで石炭鉱山や原油・ガス田の権益を持つ資源事業。
さらに、プラスチックの原料やスマートフォンに使われる有機EL材料、EV向けの全固体電池材料といった高付加価値な素材を開発・製造する基礎化学品・高機能材事業。そして、太陽光や風力、地熱といった再生可能エネルギーの開発に注力する電力・再生可能エネルギー事業です。
近年は、世界的な脱炭素の流れに対応するため、サフ(持続可能な航空燃料)といった、次世代エネルギー・素材分野への投資を重視しています。
株価と業績推移
出光興産の直近5年間における株価と業績の推移は、以下のとおりです。
参照:Traging View
出光興産の業績は、国際的な資源価格の変動に大きく左右されるため、年度ごとの利益の振れ幅が非常に大きいのが特徴です。以下の表は、近年の業績推移を示しています。
2023年3月期には売上高が9兆円を超えるなど、事業規模の大きさが見て取れます。しかし、その後の2026年3月期予測は大幅な減益見通しが発表されました。この発表は、株価にも大きな影響を与えており、投資する際には株価の変動を十分に理解しておく必要があります。
配当金
直近5年間における一株あたりの配当金推移は、以下のとおりです。
2021年3月:24円(配当利回り4.20%)
2022年3月:34円(配当利回り5.04%)
2023年3月:24円(配当利回り4.14%)
2024年3月:32円(配当利回り3.07%)
2025年3月:36円(配当利回り3.42%)
出光興産は、株価水準によっては高い配当利回りとなることが多く、高配当銘柄として注目されています。配当金は、業績の変動に合わせて増配・減配が行われてきました。
2026年3月期については厳しい業績見通しが示されていますが、配当予想は現時点では年間36円となっています。
まとめ
出光興産の株主優待は、たった1株の保有からでも対象となる「Idemitsu Art Award展」の招待券をはじめ、事業所見学会やキッザニア入場券など特別な体験を提供してくれる魅力的な内容です。
企業としては、短期的な業績は原油価格などの市況に左右されやすいという大きなリスクを抱えています。しかし、PBR1倍割れという株価の割安感や、脱炭素社会に向けた次世代エネルギー・素材事業への挑戦といった、長期的な視点での魅力も持ち合わせています。
投資判断にあたっては、短期的な業績や株価の変動に一喜一憂するのではなく、
・「体験価値」を提供する株主優待に魅力を感じるか。
・脱・石油への大きな変革期を長期的な視点で応援できるか。
・業績変動リスクを理解した上で割安な株価と配当利回りを評価するか。
といった点を総合的に考慮することが重要です。
「まずは少額から株式投資を始めてみたい」「企業を応援しながら優待も楽しみたい」と考える方にとって、出光興産はポートフォリオに加えてみることを検討する価値のある銘柄と言えるのではないでしょうか。