百貨店の株主優待は、普段の買い物がお得になるだけでなく、美術館や催事の入場特典なども利用できる人気の優待です。今回は、大丸・松坂屋を運営するJ.フロントと、あべのハルカス近鉄本店で知られる近鉄百貨店を比較し、株主優待の使い方や株価、配当の違いを解説します。
J.フロント リテイリング(3086)
J.フロント リテイリング(以下、J.フロント)は、百貨店「大丸」「松坂屋」やショッピングセンター「PARCO」を運営する企業です。また、グループの商業施設やオフィス、公共施設などの企画・設計・施工・運営といった不動産開発事業や、グループのハウスカード・決済サービスなどの金融事業も行っています。
株価は緩やかに上昇中
2026年7月時点の株価は約3100円です。2020年に新型コロナウイルスの影響で約600円まで下落した株価は、2022年頃から緩やかに上昇し始め、現在では過去最高値を記録しています。
近年は、訪日外国人の消費が多く、インバウンド需要の恩恵を受ける百貨店ほど株価が上がりやすい傾向にあります。円安による外国人観光客の増加が、株価上昇の背景にあると考えられます。
株主優待はオンラインでも使える?
J.フロントの株主優待は、毎年2月末と8月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、保有株数および保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、大丸・松坂屋で利用できる10%割引カードです。
10%割引カードは、大丸・松坂屋の各店およびオンラインストアでも利用できます。また、松坂屋美術館や大丸・松坂屋で開催される一部の有料催事が入場無料になる他、PARCOでは指定店から特典が提供されます。
ただし、10%割引カードを提示して商品を購入する際は、現金または指定の商品券、指定のクレジットカードのいずれかで支払う必要があるため注意が必要です。オンラインストアで利用する場合は、会員登録の他に支払い時のクレジットカードの登録、10%割引カードの登録をあらかじめしておく必要があります。
保有株数および保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

J.フロントの配当金と配当利回り
2027年度の配当金は、8月末の中間配当で28円、2月末の期末配当で28円の、年間1株当たり56円となる予想です。この金額は、2021年度の27円から6期連続で増配となる見込みです。
なお、1株3100円で100株購入した場合の投資金額は31万円であり、配当金は年間5600円となるので、配当利回りは約1.8%となります。
近鉄百貨店(8244)
近鉄百貨店は、大阪にある「あべのハルカス近鉄本店」を中心とした近畿・中部地方のみで店舗を展開する百貨店グループです。百貨店事業の他、食料品製造や輸入車の販売、百貨店やホテルなどの内装工事、百貨店が保有する物件の賃貸不動産事業など、複数の事業を行っています。
株価は緩やかな下落続き
2026年7月時点の株価は約1900円です。2018年には約4200円の高値を記録しましたが、2019年頃から緩やかな下落が始まり、現在では半値以下となりました。
近年の百貨店は、オンラインストアの普及による若年層の百貨店離れやラグジュアリーブランド以外の売上伸び悩みなどで縮小傾向が続いています。近鉄百貨店は地域密着型でラグジュアリーブランドの売上比率が比較的低く、市場縮小の影響を強く受けたことが株価下落の背景にあると考えられます。
株主優待はオンラインでも利用可
近鉄百貨店の株主優待は、毎年2月末と8月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、近鉄百貨店で利用できる10%割引カードが贈呈されます。
10%割引カードは、「あべのハルカス近鉄本店」を始めとした9店舗およびオンラインストア「近鉄百貨店ネットショップ」にて利用できます。また、有料催事が2名まで入場無料になる他、駐車料金無料延長券やエコバッグ引換券、近鉄グループ割引券などの特典が綴られたクーポン冊子も贈呈されます。
10%割引カード利用時の支払い方法には指定がある点や一部割引対象外商品がある点には注意が必要です。株主優待内容の詳細は、下記の表をご確認ください。

近鉄百貨店の配当金と配当利回り
2027年度の配当金は、2月末の期末配当にて、年間1株当たり20円となる予想です。この金額は、昨年度と同じ金額を維持しています。
なお、1株1900円で100株購入した場合の投資金額は19万円であり、配当金は年間2000円なので、配当利回りは約1.1%となります。
まとめ
J.フロントと近鉄百貨店は、どちらも株主優待として割引カードが贈呈されます。優待価値は利用頻度によって大きく変わるため、一律の優待利回りは算出しにくいものの、百貨店を日常的に利用する人ほど実質的なメリットは大きくなります。
J.フロントは、株価の上昇基調や6期連続増配見込みと配当面も魅力で、近鉄百貨店は割引カード以外にも優待クーポンや近鉄グループ特典など実用性の高い優待内容が魅力です。
よって、全国で大丸・松坂屋やPARCOを利用する機会が多いならJ.フロント、近畿圏で近鉄百貨店をよく利用するなら近鉄百貨店がおすすめです。利用頻度が高いほど株主優待のメリットを実感しやすいでしょう。



